

文喫福岡天神の10月の企画展 『福岡にいるぬいぐるみ展』は、「いろいろなひとに思いをめぐらせて、私たちがもっとやさしくなれたらいいな」「自分の心のやわらかい部分をさらけ出しやすくなったらいいな」という思いで、開催に至りました。
企画のきっかけとなった1冊です。
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近くて遠い、私たちの「親友」
「親友」とは何でも相談できる身近な存在か、それとも複雑で不安定な友人関係の中で理想化された幻想なのか。
新聞記事に表れた「親友」分析を通じて、「友人関係」に向けられた社会の目線を読み解く。
目次
序章 友人関係を社会からとらえなおす
1 なぜいま友だちを問うのか
2 市民社会の友人から親密な友人へ
3 高まる注目と複雑化する関係性:現代社会の友人研究
4 友人概念の社会的変化を解き明かす:本書の着眼点
第1章 複雑化する友人関係
1 友人関係のとらえなおし:本章の着眼点
2 社会調査から見る友人関係の変化
3 新聞記事の件数からみる友人関係
4 友人、親友記事の分水嶺:友人たちの2000年問題
第2章 親友の30年史:新聞のなかの親友
1 友人にむけられた社会の目線をよむ
2 使用するデータ
3 使用するコードと集計結果
4 親友記事の内容の変遷
5 変化する親友の語り
第3章 投書欄に見る親友のあり方:個人化・心理主義化への移行
1 投書欄の分析をつうじて
2 親友記事における「声」の位置づけ
3 「声」における親友描写の変化:分水嶺としての2000年
4 「声」における親友の描写
5 投書欄から見られる物語性の拡大と親友関係の個人化
第4章 親友たちの高校野球:球児たちの友情の物語
1 なぜ高校野球には親友記事が多いのか
2 友情の物語の拡大とその担い手
3 友情の物語の内容
4 友情の物語を振り返って
第5章 悩みの種としての親友:読売新聞『人生案内』からみる親友
1 悩み相談のなかでの親友
2 全般的な傾向
3 相談の内容
4 記事内容の変化:2000年近辺を境に
5 発達課題から普遍的な問題へ
終章 よき友人関係をめざして
1 本書の目的
2 これまでの分析の結果
3 これからの友人関係:理想の友人の超克
補遺1 第2章における新聞記事のコード化について
補遺2 1990年代初めの高校野球報道の事例
著者プロフィール
石田 光規 (イシダミツノリ) (著/文)
早稲田大学文学学術院教授
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友人の社会史
1980-2010年代 私たちにとって「親友」とはどのような存在だったのか
石田 光規(著/文)
発行:晃洋書房
四六判 224ページ
定価 2,400円+税
上記内容は本書刊行時のものです。